良い出会いがなかったけど、出会い系使ったら同世代と出会えた

良い出会いがなかったけど、出会い系使ったら同世代と出会えた

学生時代はサッカーに明け暮れる日々でした。その間、女性と付き合うようなことは幾度かあったけれど優先順位はサッカーがいつも上。別れはいつもそれが原因でした。別れた直後はやっぱり少し悲しいですけど、サッカーをしていれば忘れられました。

そんな人生だったから、社会人になった時は心にぽっかり穴が空いたようでした。

プロになれる実力がないことは分かっていました。それでもサッカーが好きで、将来はサッカーに関わる仕事に就きたい。そう、思っていました。しかし現実は無情で、僕はサッカーどころか、スポーツとはてんで無縁な世界の営業をやっています。

どこで間違ってしまったんだろう。

思い出すのはなぜか過去別れを切り出された女性たちの顔。今思うと、ひどいことしたんだなあとそう思います。でも過去には戻れないし、挽回のチャンスもない。なにより出会いがない。

社会人はどうやって出会いを作っているんだろうか。素朴な疑問。そんな風に出会いを求めるなんて、以前の僕だったらそんなこと考えもしなかったでしょう。でもその時僕はちょうど社会のリズムに慣れて、いくらか精神的な余裕ができたところでした。そして僕はPCMAXに出会いました。

出会い系の真っ当な使い方

出会い系がどんなものか調べていて一番驚いたのが、ほとんどの男性がセックス目的に使っていることでした。僕はそういう出会いを求めているわけではありません。どちらかというと、友達になれるような、そんな人と知り合いたかった。

習うより慣れろ。困った時はいつもこの言葉。僕は片っ端から色んな機能を試し、そのせいかすぐにポイントがなくなってしまいました。まだメールを1通も送っていません。これはさすがに悔しくて、ポイントを追加し、僕は吟味に吟味を重ねた女性にメールを送りました。

あゆみさん。プロフィールには新社会人とあったので、僕と同い年のはずです。僕が入った会社に同期はいません。新入社員は僕1人だけでした。おそらくその辺りの寂しさもあったのでしょう、僕はあゆみさんに自分も新入社員だから色々と話がしてみたいという旨を伝えました。

メールが返ってきたのはそれから数時間後のことでした。簡素なメールで、顔文字や絵文字の類はなし。どちらかといえば僕も同じタイプなのですが、女性は文面をとにかく飾り立てるようなイメージがあったので少し驚きましたね。ともかく、僕とあゆみさんのメールのやり取りはこれにて開始されました。

同世代の女性が出会い系を使う理由

一度あゆみさんに聞いたことがあります。どうして出会い系をしているのか。男性はまだわかる。セックスが目的だから。でも女性がそれ目的というのは、ちょっと考えにくいですよね。

「SNSみたいだからかな。Twitterの裏アカみたいな。ここ女は無料だから」
「あ、そうなんだ。男女どっちもお金かかると思ってた。SNSね、なるほど」
「でもメールが毎日大量にきて疲れちゃった。良かったらLNEしない?私もうここやめるから」

そして僕らは交流の場をLINEに移しました。あゆみさんは確かにサイトを辞めていました。僕はどうしたか。なぜでしょうね、つられるように僕もサイトを退会してしまったんです。本当に、なぜなんでしょうね。

結局僕は、あゆみさんから出会い系を使う明確な理由を聞きだせませんでした。僕が知りたいのは、彼女が僕に何を求めているかということ。メル友なのか、趣味を共有できる友達なのか、それとも、セフレなのか。

少なくとも僕は、セックス目的であゆみさんに近づいたわけじゃない、これだけは確かだ。じゃあ僕が出会い系を使う理由、いや使い始めた理由はなんだっただろうか。急に背筋がぞわりとしました。僕は彼女から出会い系を使う理由を聞きだせなかった理由が分かりました。

怖かったからです。彼女に幻滅するのが。

もしセックス目的だと言われたら。僕は無意識にそれを恐れ、聞こうと思えば聞けたことを、あえて聞かなかった。その感情の源は、明らかな好意。好意を抱いているからこそ失望したくないし、失望したくないから目を背ける。それは至極単純なことで、自然僕の口元からは笑みが漏れました。

顔も知らない、声も知らない、もしかしたらあゆみさんなんて人、この世のどこにもいないかもしれない。そんな人に恋をした。そんな自分がおかしくて、馬鹿らしくて、でも僕は不思議と幸せな気分でした。

出会い系で同世代と会ってみた

思えば自分から人を好きになるのは小学生以来です。我ながら初心な人生を送ってきました。しかしそれで困ったことは一度もありませんでした。サッカーがありましたからね。今までは。

こんなにも僕は駄目な人間だったのだろうか。仕事でミスをし怒られ、彼女からの連絡を待ちわびるあまり数分ごとに私用のスマホを覗いてはまた怒られ。思わずため息が漏れました。

あれから、自分の感情を自覚してからもあゆみさんとのやり取りは続いていました。こういう時に文章のみのコミュニケーションツールは便利です。顔が見えませんから。ただ、以前よりも文章を考えることが多くなりました。彼女とサイトで出会ってからおよそ1ヶ月、僕はこれからどうすればいいのでしょうか。

チャンスは往々にして突然やってくるものです。普段と変わらぬ他愛ない世間話の流れで、話題は趣味の話へ。月に一度くらいですが地元の友人とフットサルを楽しんでいるのですが、意外にもそれを話す機会はこれまでの会話でなく、大学生までみっちりとサッカーをやり込んだことを話すのも初めてでした。

あゆみさんもスポーツの中ではサッカーが一番好きだと言ってくれ、日本代表の試合くらいなら毎回見ているそうです。これはチャンス。男の本能がそう告げました。2週間後くらいに日本代表の親善試合が行われます。スタジアム観戦はおそらく無理でしょう。しかし、どこかでいっしょに観賞するくらいなら。僕は覚悟を決めました。

「再来週くらいに日本代表の試合やりますよ」
「そうなんですか。時間があったら見たいですね」
「そうですね。あの、良かったらいっしょに観ませんか?」
「私と?どこで?」
「日本代表の試合があると毎回大きなスクリーンで観戦できるバーがあるんですけど、そことかは?」

既読がつくも、返事はなし。考えているのだろうか。待っている時間がもどかしく、そのもどかしさはやがて後悔に変わりました。急ぎ過ぎた。冗談にしてしまおう。その時、あゆみさんからの返信が届きました。

「あまりお酒は得意じゃないんですが、それでもいいですか?」

我が目を疑いました。これはオッケーということですよね。会ってくれるということですよね。僕は返事をするのも忘れ、ガッツポーズをしました。こんなにも気分が高揚したのは久しぶりのことです。待ち合わせ場所や時間などは後日決めることにしました。

そして待ち合わせ当日。僕は冷たい風の吹き荒ぶ渋谷の街に立っていました。顔も知らない女性を待ちながら。写メ交換はしませんでした。僕から言い出すことはしませんでしたし、あゆみさんもそのことに言及することはありませんでした。

顔を知らなくても、声を知らなくても、彼女だと分かる。そんな気がしました。

ポケットの中でスマホが振動します。僕は取り出しませんでした。それがあゆみさんからの連絡だと分かっていましたから。待ち合わせ時間丁度になり、僕は辺りを見回しました。渋谷は人が多く、見えるのは黒や茶色の髪の毛ばかり。視界の端に1人の女性を捉えました。

この人だ。僕は直感的にそう思いました。

僕は人ごみをかきわけながら、辺りを見回すような仕草をする彼女に近づきました。時間がひどく長く感じられます。彼女の姿が徐々に視界の中で大きくなっていく。まだ、こちらに気づく様子はありません。あと数歩。その瞬間、彼女と目が合いました。

「あゆみさん?」
「はい。けんさん?」
「はい」

僕たちはお互いに微笑み合い、そしてどちらからともなく手を繋ぎました。その日、日本代表は強豪相手に歴史的な勝利を挙げました。

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